AKARI 詳細
AKARI は Linux 向けの強制アクセス制御( MAC )の実装で、システムのセキュリティを高める用途は勿論、システムの解析を行う用途でも使えるツールです。AKARI は2003年に始まった TOMOYO Linux をベースとして作成された、 Linux カーネルモジュールです。
AKARI はシステムの振る舞いに注目します。プロセスは何かの目的を達成するために生成されます。 AKARI は(出入国審査官のように)それぞれのプロセスに対して目的を達成するのに必要な振る舞いや資源について報告させることができます。また、保護モードを有効にすることにより、(運用監視人のように)システム管理者により承認された振る舞いと資源へのアクセスのみを許可することもできます。
AKARI は何に使えるのですか?
通常のオペレーティングシステム( OS )では、プロセスは監視されておらず、システムの中で何が行われているのかを把握することは困難です。
AKARI を導入することにより、個々のアプリケーションを監視することができるようになり、何をしているのかを逐一観測することができます。また、観測された結果をポリシー設定として自動的に生成することができます。アプリケーションが行った動作は自動的にアクセス許可リスト( ACL )へと追加されます。アクセス許可リストを確認することにより、アプリケーションが何をしているのかを知ることができるようになります。
そのため、 AKARI は以下のようにシステムを解析する際の手助けをすることができます。
- アプリケーションのデバッグ
- システムの振る舞いを理解
- アプリケーションの動作のドキュメント化
また、保護モードを有効にすることにより、 AKARI は強制アクセス制御を用いてシステム管理者が許可した動作だけをアプリケーションに対して許可することができるようになります。
AKARI はシステムの振る舞いを制限するツールとしても利用できます。例えば、以下のような用途に利用できます。
- SSHを使ったサービスの制限
- システム管理者の操作の制限
- アプリケーション/ユーザ単位のネットワークファイアウォール
- バッファオーバーフローやOSコマンドインジェクション脆弱性による被害の軽減
- ハニーポットシステムの構築